和紙の独特な手触り感、光の透過性を画像処理とUVインクジェットプリンターで再現しました。合成紙やシート状の和紙調製品は既に市場にありますが、カスタムプリントで行う事によるデザインメリットと可能性を提案致します。
和紙のモデリングプリント
和紙のモデリングは、画像処理とUVインクジェットの技術を使い、和紙の漉きの織や散らした繊維による凹凸、光の透過性の再現を試みています。データ加工と調整を緻密に行った結果、見た目の質感と手触りは、本物の和紙に限りなく近いものが出来ました。既に従来から印刷手法や、合成樹脂による和紙調のフィルムやシートなどありますが、カスタムプリントで和紙の質感付与を行うことで、より繊細で幅広い意匠設計が可能になるでしょう。
出力デモとして店舗用のサインを作りました。基材はPC(サイズはおおよそ380mm×270mm, t2)の上に雲龍紙のモデリングを用いています。店舗名(「みつば弁当」)は抜き文字になっており、三つ葉を象ったロゴや黒い文字はモデリング層の上に出力しています。
(いささか伝わり辛いとは思いますが…)繊維部分の濃淡(=繊維の質によって変化する和紙の部分的な厚み変化)を、モデルの和紙と同じようにプリント厚みの変化として再現しています。
下の画像2枚はサンプルパネルの左側の意匠部2カ所の拡大写真です。文字を和紙の切り貼り調(文字の周辺は基材の地–透明)、幅1mmの細かいスダレ状のスリットもプリントの破綻なくシャープに出来上がっています。
2016年の御年賀として作成した弊社カレンダーです。PCフィルム(サイズはおおよそ40×40, t0.2—-小さなカレンダーです)に印刷しています。年度(「2016」)は抜き文字、グリーンのロゴは和紙印刷の下層に印刷しています。同様に、各月のシートでは、当月前後の日付は和紙層の下層に配置する事で、当月の日付を視覚的にフォーカスさせると共に、月日の経過感を醸すようデザインしました。