機能性

透明導光表示パネル

 側面から光を入射する事(エッジ入光方式)によって文字やパターンを発光表示させるパネル状、フィルム状の導光板で、非照光時は背景を遮らない透明性、透過性を持っています。一見、透明で何も無い面に、ふと文字やイラストが発光し浮かび上がる…。こんな特性を持つ事により、従来に無い用途、訴求性を持つ表示方法が可能になるでしょう。

作成日:2015.08.19

(更新日:2016.07.27

透明導光表示板トップ画像

透明導光表示板:黄とグリーンの花の意匠部分が発光中

背景、開発経緯

 エッジ入光方式の導光板は古くからあります。液晶モニター等に使用される、所謂バックライト用導光板などはその代表的なものです。文字やイラスト自体が発光する表現形態は、見る者の感覚に強く訴えかける効果がありますので、サインや娯楽機などでも多く利用されているようです。

 しかし、通常の導光板の発光部は乳白色の半透過面であったり、完全に不透過の反射面を持っています。これはパネルの側面(端面)から入射された光を、発光部に形成した粗面、あるいは穴や溝を利用して光りを屈折させ、パネル正面へ発光させる仕組みとなっているためです。粗面や加工によってパネル表面に形成された細かい凹凸は、室内などの環境光からの光りを乱反射するために白濁して見えます。

 また最近では、非照光時に「透明」な導光表示板も徐々に目にするようになりました。代表的なものとしては、レーザー加工でパネル基材内部に微細孔を形成したものや、金型によるモールド(またはプレス)成形で微小な反射部を転写成形したタイプがあります。それぞれ優れた特徴と利点を持つものですが、残念ながら難点も併せ持つものでした。

 そこで私たちは、「透明で、反射する」という矛盾する性質を持つ導光板を、特殊な反射体をインク化し、スクリーン印刷技術と貼り合わせ技術によって、先の2種の製法のネックとなっている要素を改良した透明導光表示板を作りました。

構造と利点

構造

 以前より透明導光板のニーズは特殊印刷業界内にもありました。一般的には、これまで白色のインク(では透明になりませんので)の代わりに透明な有機、または無機の球状粉末などをインク化し、基材表面に印刷する事で、発光部を作っていました。しかしこの方式では、必要な発光輝度を得る為には粗面の凹凸をできるだけ高密度(つまり、粗面凹凸=発光面の表面積・が最大に)となるよう、粉末の粒径、濃度の調整を行う必要がありました。そしてその結果、出来上がった発光面は非常に傷に弱く、また当然粗面表面で環境光の乱反射が生じ、非照光時でも白濁して見えます(磨りガラスのように)とても透明とは言えるものではありませんでした。

従来導光板説明図

一般的な導光表示板の断面模式図

 それでは透明化するには、どうすれば良いのか。表面の乱反射を排除する事です。乱反射の原因は粗面の凹凸です。という事は、単純に凹凸を無くせば良いはず。つまり理想的には基材の中に反射体が内包されている状態を作れば良い訳です。早速、反射体を印刷したものを、印刷面が内側になるよう、2枚の基材で貼り合わせを行いました。しかし光りません。原因としては、使用していた従来の反射体が、基材、及び接着剤と同等の屈折率であったため、入射光が反射体を素通りしてしまっていました。

 その後、様々な反射体を試した結果、基材内に内包しても反射、屈折率差が生じる粉体を探し当て、これを元に周辺の要素に改良を加え、透明な導光表示板を作りました。(特許申請中)

貼合導光板説明図

印刷+貼り合わせ型の導光表示板の断面模式図

利点

従来のレーザー加工式はオンデマンドでの単品〜少量生産向け、金型プレスによる加工方式は大量生産向けの傾向がありますが、今回私たちが開発したスクリーン印刷方式で作る導光板は、少量〜中量の導光板生産に適したソリューションです。また、他にも利点がいくつかありますので、下記にご紹介致します。

  • 少ない初期費用:時に金型で中〜大型の導光板用を生産する場合は、中量生産では償却できない程の金型費用が生じますが、スクリーン印刷で行う場合は、その金型にあたるスクリーン版を起工するだけなので、1/10〜1/100以下の初期費用で賄う事ができます(※:金型設計・製作費用と版下・製版費用のみ比較の場合)。

  • 短期間での用品起工:例えば、発光部パターニングの急なデザイン変更などにも、版下製作〜製版は通常のスクリーン印刷を行う場合と同じ工程なので、同等の期間で、修正・製版が行えます。

  • 柔軟な設定に対応:エッジ入光による透明導光板は、どれも透明性と輝度とは反比例する関係を持ちます。利用される製品について、細かく輝度と透明性のバランス調整を行いたい場合でも、金型設計やレーザー加工方式のプログラムを調整する事は大変な時間と費用が発生します。スクリーン印刷方式では、粒状の反射体を配合したインクの配合比を調整する事で、簡便且つ柔軟に調整が可能です。

  • 発光部に傷がつきません:従来の導光板の発光(反射)層は非常にデリケートな表面を持つものでしたが、貼り合わせ方式では、発光層は2枚の基材の中間に内包されていますので、組み立てや使用時に直接物が触れる事はありません。

  • 高い解像度:従来方式の発光部パターニングは、ドットによって(点描画のように)図像が構成されていたため、細かい線や文字の再現が困難でした。スクリーン印刷方式であれば、反射体の粒径種を選択する事で、元の意匠が持つ繊細なディテールまで表現可能です。

  • 薄い基材にも対応:発光部はスクリーン印刷で行うので、基材そのものに物理的な加工を施すものではありません。その為、薄いフィルム状の基材でも導光板の製作が可能です(※:基材が薄い事に起因する光源・入光部の設計問題や、基材内の導光性低下は除外考慮しています)。

  • 曲げても導光可能:ネルの両面に全反射する面を持つ構造となるため、湾曲した面であっても高い導光性を保ちます。特に、フィルム状の薄い形状へ適用した場合、フレキシブルに曲がる導光板表示板が可能です。

サンプルギャラリー

 展示会に出品した透明導光板のサンプルです。主要な使用例として、意匠の異なる2枚の導光表示板を重ね、照光の切り替えで4つの表示パターンを表示させるデモンストレーションを行いました。なんとなく、ショーケース(導光板の下にあるものは、特殊印刷の製品サンプルです)をイメージした展示内容ですが、固定エリアに2つ以上の表示を切り替える方法として、サイン用途以外にも利用可能ではないでしょうか。

透明導光画像(非照光時)(H27タマ展) 透明導光画像(照光:パネル上)(H27タマ展) 透明導光画像(照光:パネル下)(H27タマ展) 透明導光画像(照光:パネル上下)(H27タマ展)

(上から)非照光、上パネル照光・下パネル照光・上下パネル照光

 

展示風景:異なる色のLEDを光源として、点灯パターンを変えています。