ノングレア印刷

室内の映り込み(グレア)を低減する、いわゆる反射防止膜の一種です。液晶パネル・LED・FL等の表示系、スイッチや操作板などの操作系のパネルに多く用いられています。材料として所謂ノングレア材もありますが、印刷で行うメリットも有り、多様な実績を頂いております。
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フィルム系操作パネル(PET)にノングレア印刷

説明

 ノングレア印刷は、印刷面に僅かな凹凸を与える事によって、室内の映り込み(グレア)を低減する、いわゆる反射防止膜の一種です。つや消し(マット仕上げ)などの印刷と近い原理ですが、高い透過性により、パネル裏面に配された表示の視認性を損なわないよう調整されています。液晶モニタ・LED・FL等の表示系、スイッチや操作板などの操作系のパネルに多く用いられます。

ノングレア印刷の構造概要

スクリーン印刷で行う場合のノングレア印刷の構造概要は、

  1. 透明なインク樹脂(メジューム/バインダー)へ、フィラー(球状の有機/無機ビーズが多く用いられます)を任意の率で配合をしたインクを印刷する。
  2. 特殊なUV硬化性のインクなどで、硬化反応の過程でノングレア面を生成するもの。これを版のメッシュなどで塗布の膜厚や印刷直後の粗面性を設定し、ノングレアの仕上りをコントロールする方法

と大きく分けて2種あります。透過性や仕上りについては、2の方式が微細なノングレア面を形成する事ができますが、印刷する材料適性は1の方式(溶剤型インクを使用)が汎用度で優れているように思います。


印刷で行うメリット

シルク印刷で行うメリットとしては;

  • 細かい文字を表示する液晶画面部部分などは除外して印刷するなど、部分的にノングレア面を適用する事が出来る。

  • アクリル/PC板等でノングレアグレードの無い板厚材や着色材などの、入手性が難しい材料に代替え的に用いる。

  • PC等へは表面硬度の高いノングレアインクを使用する事で、耐擦過性向上が期待できます(ハードコート性の付与)。

  • 任意の着色が可能で、もちろん選択的に印刷も可能です。

  • ノングレアの粗さ程度(拡散性・透過性)を調整できる。

などがあります。

 

現在実績としては、フィルム系操作パネル(PETやPC等)、アクリル板系の表示ウィンドウ、電光掲示パネルなどへ用いられています。

 

サンプルギャラリー

サンプル1

ノングレア印刷:文字視認性サンプル

ノングレア印刷:文字視認性サンプル

シルク印刷によってノングレアコートされたアクリル板を、視認性テスト用に文字を印字した用紙の上に置いています。室内の蛍光灯の反射光が拡散されています。

サンプル2

ノングレア印刷:文字視認性サンプル(詳細)

ノングレア印刷:文字視認性サンプル(詳細)

ノングレア処理済アクリル板と比較しても、表面のテクスチャー(質感)の違いは多少ありますが、素材の透明性の保持、透過させる文字の視認性に対しては、殆ど遜色の無い仕上がりです。

サンプル3

ノングレア印刷:着色サンプル

ノングレア印刷:着色サンプル

ノングレアコートをシルクによって行うことで、素材表面上の任意の領域のみノングレア処理する、拡散度を変える、着色をする等が可能です。

サンプル4

ノングレア印刷:部分塗布サンプル

ノングレア印刷:部分塗布サンプル

この写真のように、表示窓(透明部分)は素材を残し、他の操作部をノングレアに印刷する事が可能です。印刷したフィルムのエンボス加工も可能です。